株式会社ドラッグしみず
山下大介|広島大学
『在宅医療』で大切なことは、薬の知識以上に患者さんや家族とのコミュニケーションだと思います。
管理薬剤師の仕事の大変さはありますが、やりがいを強く感じていますね。
しみず薬局に入社して15年目になります。管理薬剤師になってからは10年が経ちました。管理薬剤師の仕事は一緒に働く薬剤師を管理・教育指導したり、薬局で取り扱っている医薬品の管理、そしてその医薬品が患者にとって適正なものなのかの判断や服薬指導、更にその後の副作用についての情報収集や報告などが大まかな業務の流れとなります。また、医療保険や薬事法に関する知識を基に、常に業務が適正に行われているかを総合的に判断・管理しなければなりませんし、患者さんの対応にも責任が生じます。
調剤業務の他に、商品陳列や棚卸、OTC医薬品の説明などが主な 仕事内容です。また、サービスを中心とした事業ですので多くの患者 さんやお客さんが訪れるような接客能力やコミュニケーション能力が 求められます。仕事は多岐に渡り大変さはありますが、スタッフの成長や患者さんが 元気になる姿を見るとこの仕事へのやりがいを感じますね。
『在宅医療』は本当に患者さんから必要とされていることだと感じます。
最近、在宅医療へのニーズが高まってきていると感じますね。しみず薬局では介護保険が始まって2002年から本格的に在宅医療に取り組んできました。在宅医療の良いところは患者さんとの距離が近いことと、他職種と連携を取りながら一人の患者さんを支え合うところにやりがいを感じます。
在宅医療の現場における薬剤師の業務の流れを簡単に説明すると、
1)医師の往診:処方設計に協力する
訪問薬剤管理指導には、医師の指示書が必要となります。そのためにも医師との信頼関係を構築することが最も重要だと思います。もちろん医師からの指示の下、飲みやすさや副作用などを考慮し、処方や薬の一包化の提案、粉砕可否の情報などを提供し、相談対応をします。
2)処方依頼:処方箋を受付、指導計画書を作成し調剤を行う
内服薬だけでなく、場合によっては注射剤や点滴類の無菌調製が必要とされる場合もありますが、その場合はそのような施設を設置した薬局へ依頼し、しみず薬局では主に内服薬を中心に依頼を受けています。
3)自宅訪問:調剤した薬を届け、指導を行う
薬の説明、保管方法、残薬の確認、服用方法の検討、副作用チェック、併用薬、食べ物、サプリメントとの相互作用など指導内容は多岐にわたります。また、医療材料やおむつなどの介護用品についての相談にも対応します。
4)報告:報告書を作成し、医師などに情報をフィードバックします。
指導内容をまとめ、報告書を作成。医師などに情報をフィードバックし、改善点の相談を行います。
以上のように、一軒一軒患者さん宅を訪問しながら多い時には一日に5~6件、私が担当する患者さんだけでも月に60件以上訪問しています。訪問する中で薬がきちんと飲めているかどうかを確認することも大事ですが、特に大事だと感じるのは患者さんやその家族とコミュニケーションをとることが最も大事だと感じます。
薬剤師は今後もっと他職種と連携し協力し合うことが必要だと思います。
管理薬剤師として調剤薬局の運営や、在宅医療を通じて感じるのは薬剤師はもっと積極的に他職種(医師、看護師、ケアマネージャー、介護士、理学療法士、作業療法士等)と情報交換をし合いながら協力し合うことが、結果的に患者さんが住み慣れた地域で生活を続けていくことができるんだと思います。
しかしながら、店舗内で過ごすことの多い薬剤師は他職種と触れ合うことも少なく、連携とまではまだほど遠いように感じていました。そこでしみず薬局は様々な職種の方が集い、地域の住民の方々と触れ合う場として薬局を開放することを考え、『認知症カフェ』として現在は地域の病院や介護施設と協力し合い月1回開催するなどの試みを行っています。