公益財団法人がん研究会 有明病院
伊藤 聖也|昭和薬科大学
がん専門病院に就職してみて
病院薬剤師業務は調剤業務に加えて注射業務、病棟業務など多岐にわたります。現在の主な業務として内服薬の調剤・監査、注射薬の調剤・監査を行っています。当院はがん専門病院ということもあり、抗がん薬を多く扱うのでより注意して業務を行わなければなりません。
内服薬の調剤・監査では用法用量だけでなく、併用薬や抗がん薬の休薬期間、検査値も問題がないか電子カルテ等を用いて複数の薬剤師で確認しています。当院は入院調剤に加え、外来の半分ほどは院内処方のため外来調剤も多く行っています。外来では特殊な服用方法の抗がん薬や医療用麻薬が処方されます。例えば、腎細胞がんや肝細胞がんに対して使用するカボザンチニブは食後に内服すると血中濃度が上昇するので、空腹時に内服するように患者さんに指導しています。また、医療用麻薬は患者さんにとって抵抗がある場合が多いですが、安心して服用していただけるように努めています。
麻薬、毒薬および一部の向精神薬などの特に厳重な管理を必要とする医薬品に関しては他の医薬品と区別して特定薬品管理室で管理しています。監査や取り扱いには十分注意を払って業務を行っています。
注射薬の調剤・監査では投与量や投与方法、配合変化の確認を行っています。抗がん薬では患者さんごとに投与量やスケジュールが適切か複数の薬剤師で確認しています。また当院は入院患者さんの抗がん薬調製に加え、1日に150人ほど来院する外来患者さんの抗がん薬調製も行っています。正確に調製することはもちろんですが、患者さんの待ち時間を少しでも減らすためにより早く調製しなければなりません。
私は2020年に新卒で入職しました。不安も多かったですが、研修体制は充実しており研修担当の先生方が丁寧に指導してくださいました。今後は今までの業務に加えて病棟業務も行うことになります。早く先輩薬剤師の方々のように多職種連携で活躍するチームの一員になれるように、そして患者さんに貢献できる薬剤師になれるよう日々努力していきたいと思っています。