地域に根付いたドラッグストアで
ニーズに合わせた運営
株式会社ヤスイ(千葉県)
代表取締役:池田充徳
本社:千葉県 出店エリア:千葉県 店舗数:5店舗
創業:1952年 従業員数:57名
千葉県市川市で1952年から商店として始まり、街の薬局として地域の「美と健康のオアシス」として愛され続けている調剤併設ドラッグストア。池田社長2代目として、2年ほど前に社長に就任されている。これまでの良い風土を受け継ぎながら、時代のニーズ、地域のニーズに合ったサービス提供を考え、次世代のドラッグストアを構築している面白い会社だ。「楽しく」をご自身のモットーにされていて、アイデアを出し続ける池田社長の考えを聞いてみた。
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社長に代替わりされたきっかけ、これまでの道のりを教えてください
私は、薬学部を卒業したわけでもなく、勉強もそこそこだったのですが、いずれは親から引き継いで会社経営に携わると思っていたこともあり、当時中堅のドラックストアに修行のつもりで就職しました。販売、バイヤーなどを経験し多くを学ぶために必死に働き、様々なノウハウを付けて家業であるヤスイに転職組として就職しました。薬剤師でなくても、ドラッグストアで活躍できることを示すために、家業であることに甘えが無いように、他の社員と同様に仕事をしてきました。
先代に、社長をさせて欲しいと言うことは言い出しにくかったのですが、思い切って志願をしたことがきっかけとなり社長に就任しました。当時、社長になりたいと持ちかけても、あと1年の成果を見てから決めると言われましたね。私の本気度を見たかったのかもしれないですね。我が子だから社長にするという甘えはなかったのでしょうね。 -
ご苦労されていることが多いと思いますがいかがですか?
仕事は楽しいですよ。苦労ということは感じません。もちろんしんどい時もあれば悩む時もたくさんあります。いつでも前向きに考えていないと進むことも進まなくなりますし、アイデアも生まれてきません。売上目標に合わせて動くこと、ニーズをキャッチするためにアンテナを張り巡らせて動くことは、社長業であっても一従業員であっても変わりません。常に売上を意識して動いていれば、仕事は楽しくなります。成果が出れば、尚楽しいです。
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調剤で働く薬剤師と社長の意識共有はいかがですか?
調剤事業部での売上意識は、他の事業部と少し意識が違いますね。「売上を上げていこう」と伝えても、患者様が急激に増えるということも無いですし、立地条件なども影響してきますし、薬剤師のみなさんにとっては苦しい事かもしれませんね。ただ、会社の方針や思いを伝え続けていく事、アイデアを出していく事を見せていけば、薬剤師のみなさんの意識も変わってくると思っています。もちろん、薬剤師は患者様にしっかりと寄り添って対応していくことが大切なことなので、無理に一般の考えを押し付けることは無いですけどね。
調剤薬局に全く関係の無いと思われる商品を、「まずは薬局内に置いてみよう」と私から持ちかけて薬局に置いてみると、意外と売れることもあります。患者様が購入していただけるなどの結果が出て数字に現れると、薬剤師もやる気が出て、新たなアイデアを出そうとします。見本となってこちらから仕掛けていくことが大切ですね。ネイルサロンをドラッグストア内に開設すると、患者様が喜んでくださり、処方せんを持って来られる患者様のリピーターが増えたりもしています。処方せんをお持ちになって来局される患者様は、普段ネイルに接することができない方が多く、気楽にネイルの体験ができるなど喜んでいただくケースが増えています。売上が徐々に上がっていく、患者様が増えていくことが目に見えることにより、やりがいや楽しみに繋がっていきますね。 -
ドラッグストアの経営の面白さはどこになりますか
資金力は大手ドラッグストアチェーンには負けますが、地域に根付いている強さで、様々な事業展開ができるところに強みと面白さがあります。「美と健康のオアシス」と理念に掲げているので、ドラッグストアから始まり、「調剤事業部」「フィットネス事業部」「ネイル事業部」「宅配事業部」と関連する事業はどんどん広がっていきます。ドラッグストアのお越しになるお客様の持っているニーズはたくさんあり、消費行動が繋がっています。売上のためではありますが、地域の皆様に喜んでいただけることが何よりも嬉しいことです。年に4回ほど開催している「ヤスイ健康祭り」では、お客様がお求めになっているサービスが何かもわかってきます。地域の皆様が当社の各事業をご利用いただくことにより、新たな事業展開に繋がっていくことは従業員全員のやりがいに繋がっていきますね。大手ドラッグストアチェーンに負けないくらいの事業展開をしていきますよ。
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キャリアで大切にされていることは何ですか?
「楽しく」が軸になっていますね。苦しいことも楽しいことに変えていかないと人生もビジネスも、苦しいことが大半を占めますからね。楽しく感じるためには、夢や目標を持ち続け、それに向かって自発的に動いていくようにしています。できないと思っていても、アイデアをたくさん出して、そのアイデアを出した内の1つでも実行に移していくことができればやる気に繋がると思います。私は、このような過程を楽しむことが大切だと思っています。薬剤師でも同じですよね。どのような職種でも仕事を楽しむための工夫をしていってもらいたいですね。
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新卒者や若い方の採用についてのお考えを教えてください
新卒薬剤師の、定期採用を始めたのは最近のことです。転職にて若手薬剤師の入社はありましたが、なかなか定期的に採用するきっかけがありませんでした。若い力が、会社に注入されることは、既存のスタッフによい刺激が生まれますし、活性化に繋がります。新卒で入社した薬剤師が在籍していますが、いろいろとチャレンジしてくれて良い潤滑油になっています。このような光景を見ていると、どんどん若手が入社してくれるといいなぁと思っています。理念や方向性に共感して入社してもらえれば、若手でなくても良いのかもしれませんが、時代のニーズに合った考えは、その時代に生きているから生まれるので入社していただいて新しい風を吹き込んでもらいたいと思っています。
楽しく仕事をしたいと思っている薬学生のみなさんが、薬局見学に来ていただくことを待っています!