社員のモチベーションアップの工夫が大事。
地域に愛される薬局は社員の創意工夫の結晶。
株式会社メドイット(愛知県)
代表取締役:星野博満
本社:愛知県 出店エリア:愛知県/岐阜県 店舗数:14店舗(薬局事業のみ)
創業:平成15年 従業員数:130名
元公務員の星野さんは、自身の経験から社員のモチベーションがアップする環境づくりを大事にしている。自分で考え工夫することは大事だが、それが認められきちんと報酬として反映されるから、社員の定着率も高い。
地域にも社員にも愛される薬局を運営する星野さんに、その秘訣と今後について伺った。
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薬局代表になられるまでの経緯を教えてください。
岐阜薬科大卒業後、厚労省の公務員からキャリアをスタートさせました。食品衛生関係の業務をしていて、1年毎に異動があったのですが、官僚として行き着く先がある程度見えてしまったのがつまらなく思え、資格を活かして自分で会社を起こしてみたいと思い薬局へ転職しました。薬局はここが3社目で、26歳くらいのときに入社しました。代表取締役が2人いる状況で、調剤の代表が私で、創業者が介護事業や飲食事業の方の代表をしています。
公務員を続けていたらそれはそれで楽しかったと思いますが、今の状況の方がより楽しいと感じています。 -
現在展開されている事業について教えてください。
創業者がまず薬局を始めて、飲食事業を10年前、7、8年前に介護事業をやり始めました。薬局は今14店舗展開しています。初店舗は2003年で、オープンして5、6年未満の店舗が半数くらいですね。
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開店はすべて新規ですか?
他の会社から譲り受けた店舗もあります。そこはコネクションの中でお声がけをいただいてやっていますが、今後はどちらかというと新規立ち上げをしていきたいと思っています。今は愛知県内と岐阜県内での展開ですが、今後は三重県にも出店したいと思っています。
薬局では珍しい歩合給制と社員のモチベーションアップ
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薬局のコンセプト、特徴について教えてください。
会社の名前がメドイット=medical+do itという造語で、社員たちにも、まずはやってみようという気持ちを持ってもらいたいという想いがあります。店舗に関しては、コンセプトはあえて決めず、立ち上げからエリアマネージャーにほぼ全て任せて、地域に受け入れられるにはどうしたらいいのか、店内レイアウトや店名も含め自ら考えてもらって作り上げていくスタイルです。ある程度利益が出たら利益に対して歩合給をつけて、モチベーションアップになるようにしています。
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薬局で歩合給というのは初めて聞いた気がします。
珍しいと思いますね。規模としては小さいですが、各店が一つの会社、マネージャー一人ひとりが社長という感じで、ちゃんと売上を出すという責任感を持ってもらいます。ただ、14店全店が歩合給というわけではなく、現在は6店舗が対象です。年々数字が伸びていけば歩合給アップもイメージできますし、もっと売上を伸ばすにはどうしたら良いかを考えるようにもなりますね。
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マネージャーの歩合給はいつから始めたのですか?
5、6年前くらいからです。それまではほぼ創業者が自分一人の力でオープンさせていたのですが、ある程度店舗を展開したときに一人でやり続けることに限界を感じたようで。創業者は自身が代表で居続けることにこだわりがなく、むしろどんどん次の世代に繋げていきたいという考えの人なので、高みを目指す人を育てるための一貫として歩合給を始めたというのが経緯です。新規店舗が軌道に乗るまでは会社が見て、利益が年間を通して出てきた段階で歩合給をつけています。マネージャー以外のスタッフは基本的に固定給です。
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モチベーションアップに関して、他に気をつけられていることなどはありますか?
なるべく人材に定着してもらえるように、居心地が良くなるよう環境づくりは意識しています。なかなか顔が出せない店舗でも電話をするなどコミュニケーションを心がけていて、基本はここ(さざんか薬局)にいますが、他店舗に顔を出す日もあります。
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それらの工夫をすることで、実際に社員の定着率は変わりましたか?
そうですね。ある程度、自分でもっと上へ行きたいというモチベーションの高い人は集まりやすくなりましたし、定着もしていると思います。離職率もそんなに高くありません。薬局の中でやる業務はルーティーンになりがちなので、特に男性はそればかりだと行き詰まって転職しようという思考になってしまうので、そうならないように、上を目指せる環境だという意識を持ってもらえるようになっていると思います。来年新店舗がオープンするタイミングでマネージャーに昇格してもらおうと考えている社員もいます。
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中には独立しようとする人もいらっしゃるのではないでしょうか?
独立思考の社員はいますね。実際に経営に関することを弊社で学んで独立しようという社員もいます。これまでに独立した人は3名くらいいます。独立の形は弊社の暖簾分けでもいいですし、フランチャイズという形でもいいですし、まったく関係無く独立する人もいます。
これからについて
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会社の代表が2人いるという環境で、ご自身で意識されていることはありますか?
私は創業者とはタイプが違うなあと思っています。創業者は自分のカリスマ性で人を引っ張っていくような人ですが、自分にはそれは難しいと思っているのと、同じことをしても社員はついて来ないと思うので、どちらかというと社員の声にこまめに耳を傾けて、マネージャーたちともしっかり話して協力し合いながらやっていくというスタイルですね。けっこう聞き役です。
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これからの目標やビジョンを教えてください。
介護事業などもやってもいるので、モールや医療ビレッジのようにクリニックを誘致して介護施設を隣接させ、薬局も設置したいと思っています。
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今後、どんな方に入社してほしいですか?
来るもの拒まずではありますが(笑)、いろんな新規立ち上げや介護事業などがうちの特徴なので、他職種との連携やいろんなフィールドで活躍したいと思える人が合うと思います。