社会環境の変化に柔軟に対応し、より地域に必要とされる薬局を目指す。
有限会社大和メディカル(愛知県)
代表取締役 薬剤師:髙島和久
本社:愛知県 出店エリア:愛知県/岐阜県 店舗数:5店舗
創業:平成9年 従業員数:35名
10年以上前から在宅分野に着手し、地域から大きな信頼を寄せられるやまと調剤薬局。
着実に地域に根ざしながらも、働く社員のモチベーションアップにも気を配り、地域、社員の両方から愛され必要とされる薬局を運営する髙島社長にお話を伺った。
薬局開業までの経緯と在宅医療のきっかけ
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薬局を開業されるまでの経緯を教えてください。
大学卒業後はMRをしていました。5年ほど従事した後、27歳くらいのときにある薬局で店舗の立ち上げなどを手伝い、33歳のときに開業しました。22年ほど経ちます。
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在宅専門の店舗もお持ちなんですね。
はい、今年の1月に専門店舗を立ち上げました。今は施設6件から応需していて、店舗全体で約400名の在宅の患者さんがいます。個人は少なく施設がメインです。10年ほど前から取り組んでいて、パナソニックなど一部上場企業の施設さんとのお付き合いもさせていただいているので、これから在宅に着手しようとされている薬局よりはノウハウは持っていると自負しています。
待ってもらっている施設もありますが、中途半端に受けることもしたくないので、人をちゃんと育てたうえで今後人員を増やしたいと思っています。 -
10年も前に在宅に取り組もうと思われたきっかけは何だったのですか?
在宅をやっていたドクターのお父様が薬剤師でした。その方がすごく在宅に長けた方で、ドクターから、「父親が高齢だから、紹介するから一緒にやってくれないか?」と紹介されたのがきっかけです。できたら門前だけで食べていけたら一番楽なのでしょうが、長い目で見たらそのビジネススタイルはそう長く続かないだろうとも思っていたところでの紹介でした。今現在は在宅に特化させていっているところです。
年功序列ではなく”能力序列”。会社を支えてくれる人財について
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他の店舗について教えてください。
北店が内科・外科の門前、稲沢店が循環器の専門、一宮店は、元消化器官のドクターが50床くらいの老人ホームをされているのでそちらの応需をしています。全店舗とも、地域加算が一番高い点数が取れている状態です。
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店舗の管理は店舗ごとに任せられているのですか?
運営は各店の店長にある程度任せています。やりたいという意欲、気持ちがある人にやってもらうという感じで、管理薬剤師を32歳の社員に変えた店舗もあります。若くてもやる気があれば年収も報酬も含めて上を目指していける環境ではあります。弊社は年功ではなく能力序列にしておきたいので、規定に則って途中でも給料アップの可能性はありますし、施設の患者さんやドクターからの信頼があり、頑張りが目に見えるようなら、例えば入社時の年収が500万円だったとしても1年で600~650万円になることも有り得ます。頑張っている人のモチベーションを高めたいと思っています。
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新卒は採用されていますか?
はい、来年も一人入社予定です。初年度は年収500万円くらいです。高いかもしれませんが、本当に年齢ではないと思っているので。
最近MRを早期退職して入社された人が何名かいましたが……資格を持っているから余生のお小遣い稼ぎ程度に、という感じの人は続かないですね。国から薬剤師に求められる知識がかなり増えているので、気楽に過ごせていた時代の感覚のままの人はギャップを感じられています。その点、新卒の子は伸びしろがありますね。 -
地域連携に関して思われることはありますか?
門前で待っていて、やってくる患者さんに薬を渡すだけの要員は国としても不要とされているので、これからのキーワードはやはりかかりつけと在宅ですね。門前だと病院のドクター次第ですが、在宅は自分から取っていけますよね。弊社も在宅専門の店舗を作って、ある程度システマティックにやっていきたいと思っています。
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在宅をやっていると、お休みもなかなか取れないのでは?
枚数だけで見たら10名ほどの薬剤師で十分ですが、休みを取りやすいように人員は確保しています。その代わり付加価値の高い仕事ができるので、サービスの質が担保でき、しっかりお給料も出せます。今も4名育休中の社員がいますが、戻ってきてくれます。なるべく働きやすい環境を作りたいと思っています。社員の男女比は半々くらいです。
薬剤師のコミュニケーション能力=薬局のレベル
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求める人物像を教えてください。
一歩前に出られる人でしょうか。国が今年の4月に薬剤師、非薬剤師を明文化しました。薬剤師は対人業務に専念することが国の方針なので、コミュニケーション能力は必須です。この業界が縮小して薬剤師があぶれることになっても、きちんと人と関われる人は必要なので、そういう人は生き残っていけるかな。
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コミュニケーションは店舗勤務か在宅、強いて言うならどちらにより必要でしょうか?
どちらかというと在宅ですね。在宅はドクターと一緒に往診して相談したり、進言したりと深く関わるので。施設の人の考えとドクターの考えが違うときがあれば調整することも役割で、それがけっこう大変です。ただ薬を届けに来ました、だけではありません。反面、意外と患者さんとのコミュニケーションはそれほどありません。実務的なことは施設の管理者、看護師さんやドクターと行います。外来だと自分の他に誰かが居るので何かあったら助けを求めることもできますが、在宅は基本一人なので、臨機応変に対応できる能力が求められます。これは薬剤師に限らずかもしれませんが。
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イコール薬局のレベルの高さになっているんですね。
施設で薬の飲ませ方や配合などの説明をする機会もあれば、施設スタッフさんのレベルに合わせた勉強会を定期的にさせていただくこともあります。それも信頼を得ることで生まれた付加価値ですよね。ちなみに弊社は管理栄養士も何名か雇っています。必要であれば栄養面でのアドバイスや提案ができれば良いと思っています。
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最後に、若手薬剤師の方やこれから薬剤師を目指している方へ期待されていること、メッセージをお願いします。
「習うより慣れろ」ですね。知識的なところは後からついてきます。若いうちは面倒くさいことでもしんどいことでも積極的に経験した方がいいですね。まずは医療人としての薬剤師になってほしいですね。よく「薬剤師さんは顔が見えない。何をやっているのかが分からない。」と言われますが、そこで薬剤師としていろいろできることを提案していかないと。自分から前に出ていって、職域を広げられるような薬剤師がこれから求められると思います。