対価にあったサービス提供を、薬剤師・薬局ができるように。
M’sファーマ株式会社(大阪府)
代表取締役 三宅学
本社:大阪府 出店エリア:大阪府 店舗数:4店舗
創業:2012年 従業員数:26名
爽やかな笑顔と、元気な挨拶で出迎えてくださる三宅社長。創業してから8年で、薬局の運営が厳しくなると言われているこの時代に4店舗展開に至った社長の意気込みと考えを聞いてみた。
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薬局経営されるに至るまでの経緯についてお聞かせください。
薬剤師になりたい、薬局で働きたいという思いからの流れで薬局経営に至ったのではなく、就職してからの出会いと、将来は会社を持ちたいという強い思いを学生時代から思っていたから今に至っていると思います。
薬学部を選択したのは、医療に携わりたいという考えと医学部を諦めたからですね(笑)。大学は摂南大学だったのですが、担当の先生と就職について話をしている中で、自己分析のようなことを徹底的にしていただき、元々会社を持ちたいという思いと自己分析による自分の特性が合致したこと、そして就活生同士での刺激もあり製薬企業に就職しようと芽生えました。病院に勤めたいという気持ちもあったのですが、製薬企業で働くことは俯瞰して物事を見ることができることもあり、会社経営をするという面においても近道であるということが見えてきましたね。 -
製薬企業から薬局の経営者のきっかけは?
製薬企業のMRとして、病院の担当をさせていただいた時期に、大学病院の医師と出会ったことが大きな転機となりました。その医師が開業する時には、一緒に独立し薬局経営をしてもらいたいとお声がかかったことがきっかけですね。会社を持ちたいという思いで続けてきたので迷わずに快諾しました。しかしながら薬局を経営すると言っても、薬剤師の仕事をすぐにできるわけではないので、まずは薬剤師業務ができるようになること、薬局の仕組みをしっかりと理解することから始めなければならなかったので、尊敬する知人が薬局経営をしていたので、そちらで経験をさせていただくに至りました。タイミング、人との出会いで自分の会社を持てたことに感謝しております。
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薬局の新規出店が難しい時代ですが、何かご苦労はありましたか?
実は2店舗目の出店は、1店舗目とほぼ同時期です。たまたまですが、同時期にお声がかかりました。苦労というのか、ドタバタでやらなければならないことが沢山あり大変だっとことを今でも覚えています。一所懸命にやったことが楽しかったので、苦労とは感じなかったですね。人と人の繋がりを、製薬企業で構築できたことが何よりも良かったです。古臭い言葉ですが、がむしゃらに働いてきたことが今に活かされていると思っています。
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社長が理想とされている薬局の姿はありますか?
知人の薬局で、勉強をさせていただいた時に衝撃を受けたのですが、それは、薬局がいただいている報酬に驚きました。高い報酬をいただいているという話ではなく、薬局業務の対価に驚きました。薬剤師が行う業務は、難しく、患者様や地域の皆様の命や健康を預かっているのでそれなりの報酬が発生するのですが、それに対するサービスがどこまでできているのかという点に疑問も感じ、驚きを感じました。そのことがきっかけで、私はサービスの対価を見ていかなければと思って薬局経営をしています。
決まりきった服薬指導・説明をするだけでなく、患者様がご満足されるためのサービスを提供していかなければならないと考えています。そしてそれを追求していかなければ、より良い薬局は運営できませんし、存続していくこともできないと思っています。
理想とする薬局は、言葉では簡単なことですが、「地域の元気、笑顔に貢献する」ことが理想の姿です。笑顔、挨拶からサービスは始まりますからね。
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理想を実現するための、教育や共有は難しいですか?
理念の共有ができる環境を作るように、積極的に従業員に声がけしています。現場に入って私からも話をしますし、従業員から私に声をかけやすい環境にもしています。対話を多くすることにより、お互いの思いを伝えやすく、わかりやすくなります。ただ、コミュニケーションって難しいですね。こちらが答えを求めて話しかけること、その逆に話しかけてもらえるように伝えていくこと、正しいのがどちらとは言えないですね。徐々にですが、会社のことに対する共有ができるようになってきています。
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近い将来の目標や取り組みはいかがですか?
あと10年弱というところでしょうか、10店舗にすることを目標に動いています。そのためには、従業員の育成、人事制度などを確立していかなければなりません。従業員一人一人と面談して公平な評価をすることや、労働環境の整備など、人事制度は少しずつではありますが構築し始めていまし、新入社員の受け入れをするために、大手調剤薬局チェーンのような集合研修はできませんが、中小規模なりの教育制度を少しずつ整備し始めています。従業員数がまだ少数のうちに、確立しなければ出店をしても良い組織は作れませんからね。
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薬剤師に求めることは何ですか?
「気づくこと」「実行に移すこと」ですね。日々の仕事や生活の中で、気づくことは沢山あります。自分のことはもちろんですが、患者様をよく観ていれば、仕事の仕方も変わってきますし、行動を変えなければならないことも多々できます。しかし、それをただ気付いたままにしておくのではなく、実行に移していかなければ成果に結びつきません。思考を停止させずに、常に周りを見て動いてできることをやってもらいたいですね。