業界を見据え、変化しながら会社の安定性を維持していく。
合同会社ゆうきVISION(山口県)
代表取締役 宮下英樹
本社:山口県 出店エリア:山口県 店舗数:3店舗
設立:2008年 従業員数:21名
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ご経歴と「ゆうきVISION」という社名の由来について
昭和53年に大学を卒業後、成和産業(現アルフレッサ)に入社し、縁あってここ山口の地に来ました。生まれは広島の尾道です。
当社立ち上げ当初なかなか良い社名が思い浮かばず、娘と息子から取ることをひらめきました。それだけではゴロが悪いこと、法人化し将来を広げようという意味でも” VISION”を後ろにつけました。 -
薬局設立の経緯と店舗展開について
成和産業では新卒から約30年勤め、山口県の事業部長になりましたが、ある日広島本社の内勤に辞令が出ました。僕は内勤が嫌いなので退職することにしましたが、じゃあこれから何をしようかと考えたとき、薬局開業以外思いつきませんでした。こちらのすぐ近所のクリニックの先生が開業されたときに薬局開業に手を挙げ、快諾していただけました。
10月に本社に異動、土曜・日曜は山口で開業の準備をして11月に退職、翌年平成20年の1月にゆうきVISIONを立ち上げ、同年4月に薬局をオープンという経緯です。
私自身は商学部出身で薬剤師ではないため、管理薬剤師はいろいろと探しました。生活や子どものこともあったので、背に腹は代えられない状況でしたね(笑) 53歳のときのことです。すぐ翌年にまたご縁があり、2店舗目を出店しました。その6年後にある薬局をM&Aで買収、それが3店舗目です。今はどうにか経営が安定しています。 -
運営する薬局について
3店舗で内科、内科、外科と小児科を応需しています。おかげさまで地域支援体制加算も取れていますので、新型コロナウイルスの影響も多少受けましたが、それなりに経営は安定しています。
社員数は18名、身内を入れると21名です。事務職も含め創業から長く勤務している人が多いため、平均年齢は高い方と思います。これも安定しているということですね。社内の雰囲気も良いと思います。 -
社員の定着性。社長が社員へ望むこと
患者さんはどこか調子が悪くて来られているわけですから、当たり前ですが丁寧な対応は一番望んでいます。
管理薬剤師にはある程度の権限を与えていて、言いたいことがあればお互いに伝え合っています。情報共有と意思決定の速さはあります。ちなみに、薬局長に一組の購入額は決めていません。決算時にだけ聞かせてほしいと伝えてはいますが、それ以外は任せて購入してもらっています。
理由は、患者さんを待たせたくないからです。患者さんを待たせる=在庫を置かないということは、悪だと僕は思っています。新規の薬は仕方がありませんが、そうでない既存の薬の場合は、切らすことはしません。ただ、不良在庫を抱えないようにだけ考えてほしいとは伝えています。そのため、4か月に1度ほど期限の近い不良在庫をリストアップしてもらい、他のチェーン薬局さんに買ってもらうこともあります。昨年からはお互いにクラウド上で在庫を確認できるようにしました。 -
今後のVISION(計画)は?
正直に言うと、薬局店舗を新しく作っても黒字になるまで相当の時間がかかります。すぐ点数が取れていた時代とは違い、今は地域支援体制加算などを取っていくことを考えると2~3年かかりますよね。自分の体力がもつかどうか……。また、新しいドクターが居ればいいですが、そのドクターも軌道に乗るまで2~3年はかかると思います。そもそも国が全国の薬局店舗数を半減させようとしている状況なので、数年先すら見通せません。
そう思う中で、とあるコンサルの方に相談に乗ってもらい、2020年9月1日に高齢者住と訪問介護事業所を開設し、こちらの方にシフトすることにしました。うまくいけば在宅も取れるので、薬局でのリスク回避をここでしようと思っています。
高齢者住宅は全部で36部屋あります。まずはこの1棟をしっかりと運営して、先々2~3店舗を運営していきたいと考えています。この地区で一つの企業モデルを作っていきたいと思います。 -
次世代の薬局、人材について思うこと
僻地は仕方がないかもしれませんが、医療というのは生身の人間を相手しているわけですから、何でもIT化することが良いとは私は思いません。人間対人間ということを忘れてはいけないと思います。
僕は人と同じこと、去年と同じことをしていたらつまらないと思ってしまいます。何か人よりも違うこと、セールスのときはどうやったら商品が売れるかを絶えず考える。当社の従業員にも、何か一つでもいいから去年と違うことをやってほしいと常に言っています。これから一緒に働きたいのは、そんな意欲があり、自分できちんと物事を考えられて、正直な人がいいですね。