薬剤師が活きる薬局づくり。
公平に仕事ができる会社づくり。
株式会社裕生堂(福岡県)
取締役社長 塚田 真二朗
本社:福岡県 出店エリア:福岡県 店舗数:15店舗
設立:1981年 従業員数:130名
お会いした第一印象は、身長が高くシュッとした素敵な社長。社長に至るまで順当なご経歴にてここまでキャリアを積まれているだろうと勝手な想像をしながらインタビューをさせていただいた。話を聞けば聴くことほど味のある人生で楽しいお話と素敵な考えを持たれているインタビューとなった。
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会社の創業はどのような経緯からでしょうか
先代の社長である私の父が、現在もグループ会社である薬問屋の会社でお付き合いのある医師から「調剤薬局を開局したらどうだ」と、お声をいただいたことから調剤薬局として「裕生堂」が設立されました。現在は「保険調剤事業」「訪問看護事業」「老人介護事業」と事業拡大するまでに至っています。
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社長は後継者として学生時代の頃から決まっていたのですか
親の仕事を継ぐことは全く考えずに学生時代は過ごしていました。お恥ずかしい話ですが、将来のことを考えて勉強をすることもなく幼少を過ごしていました。高校時代はバンドをやっていて、プロを目指すと決めて頑張っていました。世間一般的によくある話ですが、親に大学に行って勉強をして欲しいと言われたこともあり、バンドをあきらめました。あきらめるくらいだったので、そこまでだったのだと思います(笑)。諦めるのはいいとしても、勉強を本当にしていなかったので、大学に行く能力もなくどうしようかと考えていた時に、海外の日本人が設立している大学があることを知り、そこであれば合格することができるとわかり進学することができました(笑)。大学に進学しても、兄が継ぐことになると思っていたこともあり当社への入社も考えず、就職のことも真剣に考えずにのんびりと学生生活を過ごしていました(笑)。
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決まった人生を辿られてきたのだと思っていました・・・
私は自由に勝手気ままにやってきました。当社に入社するまではたくさんの仕事や人生経験をしてきました。本当にこのような新卒者向けのインタビューで話すことが恥ずかしい社会人生活でした(笑)。最初は花屋に就職し、早朝から深夜まで働きづくめで体力勝負のような仕事をして、その後は家具屋でゆったりとした仕事をしたいと思い家具屋に就職したけど雑貨担当になり、その後は美術館で働くなど職場を複数変えながらプラプラしていました。定職に就かずに様々な経験をしてきましたが、この経験が当社に入社してから現在の役職に就くまでに活かされていると感じています。そうこうしている中、しっかりと定職に就いかなければと思い、当社に入社することになりました。入社してもすぐにできる仕事もなく日々勉強です。そのような勉強の日々の中、これからの時代はホームページで広報活動などをしていかないと仕事が広がって行かないと考え、専門学校に通い、ホームーページの会社に出向扱いで制作会社に出向き、制作のことから営業のことまで勉強をしました。出向が終わった後に、長男が後を継がず別の道を選んだこともあり、後に私が現在の役職に就く流れとなりました。
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これからの事業展開はどのようにお考えですか
通勤している時に、障害者の親子を見かけました。その親子の姿を見かけたことがきっかけの一つではあったのですが、障害者の方とその親御さんのために何かできることはないかと思い障害者支援になる事業をしたいと考えました。また薬局、訪問看護を障害を持たれている方にターゲットをむける事により、当社の強みとなる事で「障害者の方については裕生堂にお願いしよう」となっていき、より良いサービスを提供していきたいと考えています。障害者支援事業については、障害者の方が健常者と同じ働きをしているのに、給料が健常者よりも少ないのはおかしいのではないかと思っています。そして、親御さんが将来子供を残して世を去ること、養うことができなくなった時のことを考えると、安心して今を過ごせないであろうと思っています。そこを解決できる事業を行いたいと考えております。当社は、精神科に特化した訪問看護事業を展開していることもあり、大手チェーン薬局ではできないこと、やれないことに着手し社会貢献できることを考えています。
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素敵なお考えですね。このようなマインドが芽生えたきっかけはありますか
当社は「人生を裕に生きる」と理念に掲げています。障害者の方々のことが、この理念から抜けていたことに気付かされたことが大きな転機となるのですが、これまでの経験の中で、海外に行ったことで、「自分と違う考えを受け入れる」ようになったこと、最初の花屋、出向した制作会社などで「できないと思われる仕事も断らず、あきらめない」ことを叩き込まれたことが、私の職業観を変えてくれたのだと思います。そして、仕事は公平に考え「どこを目指して仕事をするか」によって誰でも楽しく仕事ができると思うようになりました。人に自慢できる社会人生活を送ってきたわけでは無いのですが(笑)。
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薬学生や薬剤師に求めることや期待することは何ですか
薬剤師は真面目な人が多い印象があります。誠実で素直です。そのようなお人柄が多い中、「もったいない」と思う気持ちが強いです。医師の元で、その指示だけで仕事が完結しているイメージが強く、自らの発信で動くことを苦手としているのではないかと思っています。私自身の経験ですが、当社の薬局で体調が悪い時に相談をしたら的確な薬のアドバイスをしてくれました。それにより直ぐに体調がよくなったことがあります。「知識を持っているのにもっと使わないと!」と感じました。リフィル処方など自分たちの裁量でできることが増えてくる時代になってくると思っていますが、制度ビジネスの世界なので今後はわかりません。薬剤師の業務には制度や規制がたくさんありますが、当社では薬剤師の本来の力を生かしてあげられる薬局にしたいと常々思っています。
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経営で大切にされていることは何ですか
「冷静でいること」ですね。人のことで言えば、人は100人いれば100人違います。薬剤師含め従業員の皆さんからは様々な声を聞きます。その声に「一喜一憂せず」に「好き嫌い」や「性別」や「仕事ができる、できない」などで感情的にならず、冷静な判断をし、できるだけ従業員の気持ちを叶えてあげられるようにしていきたいと考えています。働きやすい環境を提供できる職場になるように常に考えて経営をしています