「調剤薬局から薬局へ」
いろいろな人に薬局を利用してもらえる薬局を目指す
やりがいのある会社
株式会社タウンメディカル(埼玉県)
代表取締役 今泉 勝
本社:埼玉県 出店エリア:埼玉県/東京都 店舗数:20店舗
設立:2000年 従業員数:145名
「かばさん薬局」という薬局名で知っていた(株)タウンメディカル。なぜ、「かばさん」という薬局名にしたのだろう?と疑問を抱きながら取材に向かった。東武スカイツリーライン草加駅から程近い場所に店舗があり、またその近くに自社で運営されている保育園もあり、社名の通り地域に根付いた会社であると感じた。社長がどのような思いで会社経営をされているのか聞いてみた。
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どのような経緯で起業されたのですか?
薬科大学を卒業した後に、ドラッグストア、保険薬局の2社経験し独立しました。社会に出る前から将来は独立すると決めていたので、社会に出てから独立するまでに大きな気持ちの変化などはなく独立に至っています。当時は、まだまだ保険薬局が多く立ち並ぶ時代でもなく、ドラッグストアが多く存在していたわけでもなかったので、独立する業態はイメージしていませんでした。
新卒で入社したドラッグストアは、新宿の繁華街にあり、ドリンク剤が驚くように売れている時代でした。販売する手法など先輩から教わり、真似をし、たくさんの勉強をさせてもらいました。ドリンク剤がバカ売れし、がむしゃらに働いていたバブル期に、勤め先のドラッグストアで調剤店舗のオープンが始まったり、周りに調剤薬局が立ち並び始め、調剤薬局のニーズが増えビジネスになっていく業界だろうと考え、調剤の道へと進んでいきました。 -
当時の調剤薬局業界はまだまだでしたよね
そうですね。ドラッグストアの全国チェーン展開も始まったばかりでしたし、薬剤師が就職する先も、病院か製薬会社が大半という時代でした。そのような中、私は起業することを模索するために、東京でドラッグストアを展開し始めている会社を選択しました。販売する楽しさや苦労、薬や健康に関わる商品で人の健康をサポートできる楽しさを学ぶことができました。その後の調剤薬局チェーンでは、調剤業務、服薬指導の難しさを学び独立・起業という道に進むことができました。良い経験だったと感じています。
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20店舗の展開をされていますが、今後の展開はどのようにお考えですか
積極的な展開は考えていません。設立から1年に1店舗ペースくらいの店舗数となっていますが、出店をすれば良いという考えは持っていないです。埼玉県も東京都も調剤薬局が飽和状態ですし、店舗の立地だけで処方せんを獲得するような展開はしたくありません。患者様から必要とされる薬局とはどういうものかを真剣に考えて運営をしていかなければ、今後は薬局としての価値が見出せなくなります。在宅はやらなければならない時代ですが、本当に必要とされているかを考えて在宅を実施していかなければなりません。薬をもらう場所としか思われていない状況から脱却していかないと、在宅の必要性を多くの患者様に感じてもらえないです。出店はもちろん考えますが、今は「かばさん薬局は他とは違います」と言える会社づくりと、人材育成が必要で、試行錯誤しながら次の時代に向かっているところです。
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他社の調剤薬局とは違うと言えるためには人の成長が不可欠ですね
薬剤師は、良く言えば真面目です。しかし、人と接するのが苦手としている人が多いと思います。私もその1人です(笑)。当社は、保育園の運営もしていますが、保育士の皆さんは元気に挨拶をされます。常に楽しく気持ちよく人と接する資質を持っています。全社の集まりがある時に、保育士の皆さんの挨拶や発言と薬剤師とでは大きな違いを感じることが多々あります。資質の違いがあるかもしれませんが、気づきを与える環境をつくっていけば薬剤師も保育士のような明るさ元気さ、コミュニケーションの取り方ができるようになっていくと思っています。私たちの職場環境の周りは、介護や看護に関わる方々がいらっしゃり、その方々と接する機会も多いので、まずは同じような対応力をつけていくことが必要ですね。
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気づきを与える人材育成のための研修の重要性を感じますか
強制的な研修が重要とは感じません。自発的な研修の機会や勉強の機会は必要だと思います。その為には、中間層に値する人材が新卒者を自ら預かる気持ちを持ってもらえるようにしたいと思っています。そのために自発的に研修に出たいという気持ちを持ってもらい自ら研修を受ける環境づくりをしています。認定薬剤師取得に対しても同じような考えです。個人の資格となるので、個人の成長の為に自発的に取得する行動を取ってもらえるように、その補助をするのが会社であると考えています。研修や勉強全般に言えることですが、自分の成長も相手の成長にも、喜びを感じ、やりがいを感じてもらうことが必要ですね。
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社長が社会人になった時代とは違いを感じますね
先ほども話をしましたが、先輩の真似をしてがむしゃらに働いて、社会人として薬剤師としての感性を叩き込んでいた時代でしたからね。私は、「医療人として、薬剤師として」という意味では、偉そうなことは言えない就職活動であり、薬剤師としての社会人のスタートだったかもしれませんが、真面目に一所懸命に働いていました。そのように働いているとたくさんの出会いがあり、その出会いで成長をしてきて今があると思っています。たまたまですが、先ほどから話に上がっている最初の出会いの先輩が当社の薬剤師として在籍しています。偶然ですが、出会いは大切だと感じます。今の時代は、このような話をしてもかけ離れていてギャップを感じます。とは言っても時代に合わせて、その人それぞれに合わせて成長を期待し活躍をしてもらいたいと思っています。
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ビジネス的な感性で薬局運営をされていますか
ビジネス的感性が無いと薬局経営も保育園経営もできませんが、現場タイプなので薬剤師という像がどういうものなのかを追求しながら利益を得ることを考えています。ただ、最大限に利益を求めることは違うと思っているので、患者様視点で事を考え行動するようにしています。
調剤薬局は、人と結びつくのが処方せんですが、それ以外で結びつく、いろいろな接点を持つ、いろいろな人に薬局を利用してもらえる薬局を目指すという意味で「調剤薬局から薬局へ」をモットーに掲げ、全社一丸となり次の時代に向かっています。このモットーが実現できれば、大きく店舗展開ができると思っています。